中国国家主席官邸より豪壮な韓国大統領官邸
10年前、私が32歳の時、韓国大統領官邸の青瓦台前でのことです。私はソウルに観光に訪れており、青瓦台を見ようと思い、歩いて向かいました。青瓦台は大通りから離れたところにあり、正門付近には歩行人などいません。正門から、青瓦の巨大建築が遠く正面に見えました。もちろん正門は固く閉ざされていましたが、少しでも青瓦台に近づこうと、正門の手前まで進みました。すると、両脇から突如、銃を持った警備兵が私を目掛けて飛び出して来て、その場でねじ伏せられました。
私は正門に近づいただけでしたが、想像を超える厳重な警備のため、取り押さえられたのです。ポケットのものを全部出され検査をされて、何も危険物を持っていないということがわかると、その場で放され、立ち去るように指示されました。
青瓦台は一部のエリアが公開されていますが、そのほとんどのエリアは秘密のベールに包まれています。地図では青瓦台のエリアは空白になっています。その建築の豪壮さは世界一のレベルとされます。(現在の官邸は、盧泰愚政権時代の1991年に新築)
北京の国家主席官邸は、紫禁城(故宮)の西隣の「中南海」と呼ばれるエリアにあります。中国政界では、「中南海入りする」という言い方がありますが、これは入閣し、政権の中枢に加わるという意味です。「中南海」も高い塀に囲まれ、秘密のベールに包まれた場所です。北側の景山の山頂から「中南海」の中が見えますが、国家主席官邸は豪壮という感じではありません。青瓦台の威容とは比べものになりません。
「朴正煕の首を取りにきた」
この青瓦台が襲撃されようとした事件がありました。1968年1月のことです。北朝鮮の特殊部隊31名は当時の大統領の朴正煕(パク・チョンヒ)を暗殺するため、南北休戦ラインを越えました。彼らは青瓦台付近までやって来たところで、検問に引っ掛かりました。特殊部隊員はその場で機関銃を乱射して、警官を殺し、青瓦台へ突入しようとします。