「3次元計測」駆使し課題を解決

ベステラのデジタル・ディスラプションの第2弾は、「3次元計測(3Dスキャン)」である。3次元計測とは、すでにある建物や施設の内部あるいは外部などを計測してデジタル・データ化し、パソコン上などに3次元空間で画像化した図面情報として再現する技術である。

ベステラはこの3次元計測サービスを2015年から開始しており、原子力発電所や火力発電所などの大規模施設をはじめとした各種の3次元計測サービスを受注している。

3次元計測は、次のように行われる。まずはデジタル・レーザ・スキャナを使い、対象となる建物の内部などを3D点群データ化する。そしてこれを、デジタル撮影した画像データと組み合わせてコンピュータ上でモデリングを行い、3次元空間画像化する。

この3次元空間画像は、単なる写真とは違う。建物や施設の図面として必要な情報も備えており、寸法などの正確な確認、さらには入れ替え設備の移動についての動画シミュレーション、あるいは解体の手順の動画シミュレーションなどを行うことができる。もちろんデジタル・データなので、2次元の図面に変換し、プリントアウトすることも可能だ。

なぜ3次元計測が、建物や施設の解体や更新の工事に必要なのか。

第1に、解体や更新の工事では、「図面がない」ことが少なくない。50年前に建設された建物や設備だと、図面が残っていないことは珍しくない。

第2に、解体や更新の工事では、仮に図面が残っていたとしても、それは2次元の図面である。50年前に3次元CADはない。一方で、今後の解体や更新の工事の需要増をにらむと、この2次元の図面を読み解くことができる専門人材の不足が予想される。

第3に、解体や更新の工事では、「図面と現物は異なる」ことが少なくない。50年もたてば、その間に、増改築が繰り返され、建設当初の図面と現状の設備は一致しない。あるいは経年変化のなかで、パイプなどに歪みが生じることもある。特に各種のプラントなどでは、このパイプ内を慎重な扱いを求められる化学物質が流れていたりする。

したがって、解体や更新の工事にあたっては、建設時の図面に頼り切っていては危険であり、現物を見ながらの勘と経験での作業が進められてきた。ここでも、今後をにらむと人材不足が予想される。