女性社員の産後ケア 企業の支援は明らかに手薄
太田さんもこう語ります。
「明らかなのは、産休前や産後リハビリ期間(2~6カ月)は、産後の知識の獲得と準備、産後の心身のリハビリや復職への土台づくりが必要なのですが、その支援が手薄だということです」
太田さんによれば、産後7カ月くらいの「復職準備期」から「復職後」については、多くの支援があります。たとえば育休社員交流会や復職前面談、復職後セミナー、ベビーシッター補助などです。しかし、その手前の期間は、企業からのフォローが足りない状態です。
今後、復職支援の一環として、「産後ケア」に取り組む企業の増加が望まれます。
▼産後ケアがより良い復職に必要な力をもたらす
産後の心身のダメージにより、職場復帰する気力を奪われてしまう女性がいます。そうした状況を真剣にとらえ、企業が従業員の産後ケアに取り組むには、どうすればよいのでしょうか。
マドレボニータは企業向けに復職支援プログラムを提供しています。プログラムには2本の柱があります。
1つ目の柱は「産む前から」のプログラム。産後の体調はどうなるのか、また、よりよい復職に向け産前から育休中にどのような過ごし方をすればいいのかなどについて、講座やワークショップを提供しています。
産前の講座は、当事者である女性だけではなく、パートナーが出産する男性、管理職も参加できるようになっており、必要な準備・ケアの知識などを学べます。プログラムを受講し、6週間育休を取得した男性は「産後の経験はそのすべてが仕事に活きると思っています」と振り返っているそうです。
2つ目の柱は「育休中」のプログラムです。マドレボニータが全国約60カ所で開催している「産後ケア教室(全4回)」に参加し、バランスボールエクササイズやコミュニケーションワークによる心身のリハビリを経て、復職に向けての土台をつくります。
参加の時期は産後2~6カ月を推奨しており、これは多くの社員にとって育休の前半期にあたります。受講者は次のように語っています。
「ママ友作りの難しさを感じていましたが、講座に参加をしたことで、いつでも気軽に相談できる仲間ができました(女性/産婦)」
「自分の仕事に誇りを持ち、頑張っているワーキングマザーと知り合えたことで、今の会社で働き続けることに前向きになれました(女性/産婦)」