大手だけで7万人超のリストラ計画

ボーナスも大幅ダウン。シャープは約170万から133万へ
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ボーナスも大幅ダウン。シャープは約170万から133万へ

米国の金融不安に端を発した急転直下の需要減と円高で総崩れの電機・精密産業。とりわけ電機は全滅の様相を呈している。2009年3月期連結の純損益はソニー1500億円、パナソニック3800億円、日立製作所7000億円、日本電気2900億円と巨額の赤字を予想。電機大手9社の赤字幅も過去最悪の02年3月期を上回る勢いだ。

業績不振は雇用をも直撃した。昨年12月半ばに発表された日本経団連の今年の賃金政策(経営労働政策委員会報告)では「労使交渉・協議においては雇用の安定に努力する」としていたが、経団連中核企業の電機各社は今年の1月に“派遣切り”に続いて相次いでリストラ計画を発表。大手だけで計7万1150人の人員削減・配置転換に踏み切る方針を示した。

せめて賃上げだけでもと期待された今春闘だったが、蓋を開けてみれば電機の賃上げはゼロと全滅。加えてこれまで手をつけてこなかった定期昇給をソニーは1年、日立は半年凍結するなど一気に実質賃下げ時代に突入した。この結果に電機系労組の幹部は「当初、経営側は賃上げか雇用確保かと言っていたのに、最後は両方ともダメという結論だ」と嘆く。

定期昇給は勤続年数に応じて毎年賃金に上乗せされるもので、仮に平均5000円とすれば年間で6万円の減収だ。今年はさらに業績悪化がボーナスを直撃した。ソニーは去年の約230万円から約153万円、日立は約148万円から127万円、シャープは約170万円から133万円と軒並み大幅ダウンした。当然、各社の年収も昨年に比べて下がることになる。単純に大幅減のソニーの場合、定期昇給なしも含めて昨年の年収より80万円超の減収となる計算だ。

しかもこれはあくまでも組合員層の平均だ。すでにソニーは管理職に対し、ボーナスの35~40%の減額と月次報酬を減額。年収を10~20%引き下げる計画だ。管理職層のボーナス査定では、会社業績反映度が一般社員よりも高いのが普通。加えて赤字となれば他社も年収大幅減を余儀なくされるのは必至だ。

※年収はいずれもユーレット(http://www.ullet.com/)のデータをもとに作成。純利益予想は3月25日時点の決算短信、業績予想の修正より。

(ライヴ・アート=図版作成)