海外案件の採算悪化に苦しむゼネコン大手
スーパーゼネコンが苦戦している。2009年3月期決算見通しは、軒並み純利益ベースで前年を大幅に下回る。これまで40代で年収900万円台を維持してきた鹿島が5期ぶり、大成建設は7期ぶりに赤字となる。背景には、世界的な建設資材の高騰に加え、両社が得意としてきた海外での大型プロジェクトでの採算悪化などがあるという。
準大手各社もおしなべて厳しい。年収では700万円台の東急建設、600万円台の三井住友建設や熊谷組が赤字になりそうだ。折しも、西松建設の違法献金問題もマスコミを賑わしている。依然として旧体質を引きずり、公共事業に依存する体質からも脱却できていない。
それ以上に苦しいのがマンション業界。サブプライム問題に端を発する不動産価格の下落と、昨年来の資材価格の高騰で、収益性は格段に落ちた。804万円で業界トップ年収の長谷工コーポレーションにしても、マンションに特化してきたことが足を引っ張る可能性もある。
両業界とも、ほとんどの企業で07年の給与実績を維持するのは難しいだろう。
ただ住宅各社は、何とか利益を出している。理由としては、戸建てを主体とした08年の新設住宅着工戸数が、109万戸余りと増加したことが大きい。前年比3.1%のプラスだが、2年ぶりということで、これで一息ついたのかもしれない。なかでも大東建託や積水ハウスは、健闘しており、年収レベルも高めだ。
そうしたなか、不動産上位の三井不動産と三菱地所などは、依然として1000万円台の年収を誇っている。とはいえここ数年、業界の堅調さを支えていた大都市圏の大規模商業施設や高層マンション整備が一段落。不動産価格下落も伴い楽観はできない。
いずれにしても、しばらくは不動産市場は需要減を余儀なくされそうだ。昨年から破綻が続いていたJ‐REIT(不動産投資信託)は、さらに投資リスクが高くなっている。業界再編も不可避といってよく、一時のブームは業界の“あだ花”だったという気さえする。
※年収はいずれもユーレット(http://www.ullet.com/)のデータをもとに作成。純利益予想は3月25日時点の決算短信、業績予想の修正より。