「圧力」がすべての産経は「対話」を否定
次に産経社説(9月22日付)を取り上げよう。
「各国首脳らと相次いで会談し、協力を求めた点もよかった。国民の安全が脅かされている国のリーダーとして、当然とるべき外交努力といえる」
「国民に対しても改めて説明し、支持を得るべきである。日本が『圧力』の先頭に立つ覚悟を、実行に移すことが重要である」
「圧力の先頭に立つ覚悟」とまで書く辺りなど「日本の国民が北朝鮮に核ミサイルを打ち込まれる覚悟をすべきだ」と受け取られかねない過激な発言である。
産経は翌23日付の社説で「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が声明を発表した。トランプ米大統領の国連総会演説を激しい言葉で非難し、『史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する』と警告した。これを受けて国連総会に出席中の李容浩外相は『水爆実験を太平洋上で行うことではないか』と付け加えた」とトランプ氏と金委員長の売り言葉に買い言葉のどうしようもないやり取りを指摘し、こう主張する。
「仮に実行されれば論外の暴挙であり、口先だけの威嚇であっても決して容認できない」
言葉ではこう書けるが、産経は核ミサイルを撃ち込まれる覚悟がどこまでできているのか。
朝日と産経を読み比べると頭が混乱する
さらに産経社説は「対話」を否定し、こう訴える。
「首相は、北朝鮮が1994年の米朝枠組み合意や2005年の6カ国合意に基づく対話の裏をかいて、核・ミサイル開発を続けてきたことを非難した」
「北朝鮮にとって対話とは、世界を欺き、核・ミサイル開発の時間を稼ぐ手段だったのである」
「ところが、中国やロシアのほか日本国内にも『圧力よりも対話』を求める意見が存在する。いわゆる『対話のための対話』は問題解決にならない。むしろ、北朝鮮の核戦力強化に手を貸すことになりかねない」
前述した朝日の「圧力は対話を導き出すための手段にすぎない」という社説を読んだ後、この産経社説を読むと、少々頭が混乱するかもしれない。簡単にいえば、産経社説は安倍首相やトランプ氏と同じく「圧力」がすべてなのである。