また、木村さんは「今後はこの時間を使って、セカンドライフに生かせるような資格の取得にもチャレンジしたいですね」と意欲を示す。PFを機に、そうしたビジネスパーソンのニーズを取り込んで売り上げを拡大しようと、企業サイドも動き出した(表参照)。

自己研鑽で活用したいサービス

資格学校大手の東京リーガルマインドは、2月24日16時から渋谷駅前本校で「人生100年時代を乗り切る! 生活の豊かさを感じるための国家資格」という演目の特別講演会を開いた。同社渋谷駅前本校支店長の植木昭好さんは、「PFによって時間の余裕ができた30~50代の人に、普段では馴染みのない国家資格について、少しでも考えるきっかけにしてもらいたかったのです」と話す。参加者は10人で、そのうち4人は非受講者の30代のビジネスパーソン。「学生時代に目指していた司法書士の勉強をぜひ再開したい」と話す参加者もいたという。

高島屋新宿店は、「新“塾”タカシマヤ」と銘打ち、2月24日にメイクアップ、着物の着付け、茶会など13コマの特別体験コーナーを設けた。「ビジネスパーソンの顔」ともいえる靴の手入れコーナーには、30~50代と思しき男女各3人が参加、シューフィッターなどの説明を熱心に聞き入っていたという。「特別体験コーナーの定員の予約率は約7割でした。当日の16~18時の入店客数も前年度下期(15年9月~16年2月)平均を上回り、手応えを感じています」と、同店営業企画担当課長の神田美樹雄さんは胸を張る。

冒頭で紹介したソフトバンクは、「スマート&ファン!支援金」として、4月から全正社員を対象に、毎月1万円を2年間支給する。「使途は自由で、PFの軍資金にして飲み会に参加しても、子どもと遊びに行ってもOKです」(ソフトバンク人事管理部労務厚生企画課長の石田恵一さん)。

このように、PFを活用するための環境は整えられつつある。ビジネスパーソンにとって、自分磨きのチャンスになることは間違いない。日頃の働き方を見直して時間をつくり、PFは15時に会社を出てみよう。そうすれば自分にとっても会社にとっても、幸せな未来が開けるのではないだろうか。

(写真=amana)
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