現在、日本の高齢化率は27.3%。高齢化率とは日本の総人口に占める65歳以上の割合のこと。65年には38.4%にもなると予測されています。

地方においては過疎問題や空き家問題など、すでに高齢化に伴う問題が発生している地域も多く、危機感に満ちています。一方、東京でも25年以降は東京の人口がピークアウトし、団塊の世代の皆さんが後期高齢者入りするなど、急激な高齢化が目前に迫っており、速やかな対策が喫緊の課題となっています。

東京都では、現在不足がちの特養の定員を25年までに6万人分確保します。また、認知症のグループホームを2万人分確保するなど、着実に計画を実行に移しています。

気をつけなくてはならないのは、「高齢者=介護・医療が必要な“ケアすべき人々”」という十把一絡げな定義づけです。たしかに、年を取れば体に不調も出てきますし、病院の世話になる頻度も高まります。疾病や加齢により老人ホームで生活する必要も出てくるでしょう。そのための予算や政策は必要です。しかし介護設備を増やすだけが、増加する高齢者の幸せにつながるとは限りません。

ここで高齢化問題について、発想の転換、すなわち「マインドセット」したいと考えます。その一つが「生涯現役」。老後はまだ先という方も、今から心身ともに準備を始めてください。そのために、どうやって皆さんをサポートするか、東京都でもしっかり後押しをしてまいります。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦 写真=読売新聞/AFLO)
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