党首以上の権力を握った「小沢幹事長」

「野党幹事長」というポストの役割は何なのか。与党の場合、党首は首相になるため、ナンバー2の幹事長が党務全般を受け持つ。だから幹事長には権力が集中する。ところが民進党のように野党の場合、党首も党務を全面的に仕切るため、幹事長の役割、権限は与党ほどはない。

それなのに民進党内で、幹事長というポストはなぜ注目されるのか。その原因は、小沢一郎氏にある。小沢氏は、若いころから幹事長ポストにこだわった。首相になって身動きが取れず1、2年で使い捨てになるよりも、幹事長として実権を握り続ける方がいいと考えていたのだ。その結果、自民党、新進党、民主党で幹事長を歴任。いずれも党首を上回る権力を集中させ辣腕をふるった。

民進党議員は、「小沢幹事長」の印象が強く残っている。特に09年に発足した鳩山民主党政権で、幹事長として政権を思いのままに動かしたころのことが忘れられない。だからこそ、幹事長人事に過敏になり、決まった人事に異論反論を繰り返し、党のバラバラ感をさらけ出しているのだ。

「前原メモ」は生かされるか

前原氏は国会議員としての活動で失敗した時、同じ失敗を繰り返さないためのメモをパソコンに打ち込み、読み返している。その中には「紛争の火種は、初期消火する」という趣旨の書き込みがあるのだという。党勢が低迷し、離党予備軍リストが公然と出回っている今、紛争の火種は至る所にあるが、24年間に及ぶ政治活動の反省が詰まった「前原メモ」は、今回効果を発揮して初期消火できるだろうか。全体状況をみて極めて厳しい状態であることは間違いない。

(写真=時事通信フォト)
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