「頭のよさ」とは、興味を持ち、集中する力
万有引力を発見したニュートン、電球や蓄音機、電気機関車……ありとあらゆるものを発明した発明王エジソン、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツや、アップルを創りあげたスティーブ・ジョブズ、Facebookの生みの親マーク・ザッカーバーグ……天才と称される人を何人か並べてみると、共通点があることに気づきます。
たとえばニュートンはすごい集中力の持ち主で、朝、ベッドから起きあがろうとして何かに興味を引かれたら、2時間も3時間もぴくりとも動かずに考え続けることができたとか。ザッカーバーグやジョブズが服を選ぶ時間がもったいないと、同じTシャツやジーンズを何枚も持っているもの有名な話です。つまり、天才たちはみんな、ちょっと変わり者で情熱的。他人の評価は歯牙にもかけず、自分が気になったことに集中できる素質を持っています。
彼らの何かに興味を持ち、集中する力。それこそが「頭のよさ」を解明する鍵の1つだと私は思います。
普通の人は、なかなか集中力が続きませんよね? 勉強だって読書だって何時間もぶっ通しでできるものじゃありません。けれど、「天才」と呼ばれる人たちはそれができる。なぜかというと、脳の中でドーパミンが出やすい回路ができあがっているからです。
ドーパミンとは脳内の神経伝達物質で、うれしいことや楽しいことがあると分泌されるので、「脳内報酬」とも呼ばれています。ドーパミンが分泌されるとわれわれ人間は快感を得ます。わーっと盛りあがって、なんだか気持ちがよくなる。その体験を何度か重ねると、脳は快感を覚えます。そして「あの気持ちいいことをもう一度やろう」「気持ちいいことにまた挑戦しよう」という指示を出します。すると、われわれはもう一度チャレンジする、またドーパミンが出る、すごく気持ちいい、またやりたくなる。そのサイクルが完成されると、何か楽しそうなことを見つけて集中して取り組む人間になれます。
このドーパミンの分泌の仕組みを私は「ドーパミン・サイクル」と名づけました。世の天才たちはこのドーパミン・サイクルが普通の人よりも完成されているのです。だからこそ普通の人よりも、何かに気づきやすく、集中でき、成功することができるのです。
「ドーパミン・サイクル」は5歳までに完成する
いろいろ研究していくうちに、ドーパミン・サイクルは子どものうちに発達させておくべきということもわかってきました。そもそも脳の80%は0歳から3歳、遅くとも5歳ごろまでには基礎が完成してしまいます。残りの一生は、5歳ころまでに培ったものをベースに生きていくのです。ですから、5歳ころまでに脳のポテンシャルをどれだけ開花させられるかが、その人の「かしこさ」を決めると言っても過言ではありません。
ですから、最近子どもが生まれた、もしくは2、3歳の子どもを育てているという方はいまがチャンスであり、「かしこい子」になるか「普通の子」になるかの分岐点だと思ってください。
世のお父さんお母さんの多くは「子どもが将来苦労しないように」と、赤ちゃんのうちから英才教育をほどこしたり、知識や記憶力を高めたりすることに必死のようです。
しかし、もっとも大切な「脳を活かすための土台づくり」を怠ってはいませんか?
赤ちゃん時代に必要なのは英才教育や受験勉強の準備ではなく、「ドーパミン・サイクル」をつくる経験=可能性という「宝探し」なのです。
そこで、私は0~5歳までの子どもをもつお父さんお母さんを対象に、『5歳までにやっておきたい 本当にかしこい脳の育て方』(日本実業出版社)という本を書きました。ドーパミン・サイクルをつくり出すための脳の育て方を詳しく解説しています。