2位の長野県伊那市は、1位の都城市と金額では約1.3億円しか違わない。しかし件数は都城市が約52.8万件なのに対し、伊那市は約5.9万件と少ない。その理由は、返礼品に高額な家電を用意していたからだ。伊那市にはオリンパスやJVCケンウッドなどの工場が存在するほか、パナソニックなどに部品を供給するメーカーがある。返礼品で人気を集めたのは、オリンパスのデジタルカメラやパナソニックのロボット掃除機。そのほか英ダイソンの掃除機も返礼品のリストに入っていた。

「ふるさと納税自体の認知度が上がったことや、ワンストップ特例制度など利便性が向上したことに加えて、本市の主要産業である弱電製品(コンデンサ)を使用している家電製品を、地元の家電小売店の協力を得て返礼品に加えるなど返礼品拡充を図ったため、前年度よりも受入額が増加したものと考えられます」(伊那市役所企画政策課)

ただし、今年4月に総務省が高額返礼品の見直し通達を出したことで状況は一変。今年6月以降、伊那市の返礼品一覧から家電は姿を消している。

「『モノ』から『コト』へのシフトを意識しながら、『伊那から減らそうCO2!!』『50年の森林ビジョン』のような、伊那市らしい特色のある取り組みを推進し、それらに沿った返礼品を提供することにより、引き続き本市の施策に対し全国の方からご支援をいただけるように取り組んでまいります」(同)

市の担当者はそう説明するが、今年度の受入額大幅減は避けられないだろう。

総務省「返礼品の高額化は引き続き問題として認識」

今回の調査に関して総務省・市町村税課担当者は、「2016年度は伸び率がやや鈍化したが、国民の間で少しずつ制度が定着してきたことで、受入額・受入件数共に引き続き増加傾向にある」と語る。だが、そうして定着するに従って、各自治体が寄附集めに必死になるあまり、返礼品が高額化していったのではないだろうか。

「いろんな要因があるが、それもあると思う。趣旨に反するような豪華なもので寄附を集める事例がクローズアップされており、総務省では平成27年度から3回にわたって指導を行ってきた。引き続き問題として認識しており、自粛をお願いする形で指導をしていく」(総務省市町村税課)

お得な制度として認知されたことで、ここまで数字を伸ばしてきたふるさと納税は、曲がり角を迎えつつある。来年度以降の受入額ランキングでは、大幅な変動が起きるのかもしれない。