サラリーマン諸君! 理不尽を引き受けよ
しかし、左遷先の東レ経営研究所では社長です。ほどなくして、部下に仕事を任せれば、自分の時間がいくらでもつくれることに気づきました。その頃、初めて執筆した本が10万部ほど売れ、やがて次から次へと出版や講演の依頼がくるようになりました。今、私が定年を過ぎてもこうして好きな仕事を続けていられるのは、そのときの人事を真正面から受け止めて置かれた場所で咲いたからです。
そもそも、上司に恵まれているという人は、そう多くないと思います。会社で仕事をしていくということは、理不尽なことを引き受けるということです。会社にいる以上、不愉快なことが山ほど出てくるのは当たり前のこと。ですから、その中でどうすれば楽しくやっていけるかを考えるべきでしょう。
サラリーマンには理不尽なことが多い半面、恵まれている面もたくさんあります。決められた時間だけ働けばいいし、休日もある。月々決まった給料がもらえて、退職すれば退職金までついてくる。農業や自営業の人たちからすれば、うらやましい限りです。そんな恵まれた環境で働いていることを自覚できれば、理不尽さも前向きに受け止められるのではないでしょうか。
マネージメント・リサーチ代表 佐々木 常夫(ささき・つねお)
1944年、秋田県生まれ。69年、東京大学経済学部卒業後、東レに入社。2001年取締役。03年東レ経営研究所社長。10年より現職。現在は経営者育成プログラムの講師などを務める。近著に『40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい』(文響社)。
1944年、秋田県生まれ。69年、東京大学経済学部卒業後、東レに入社。2001年取締役。03年東レ経営研究所社長。10年より現職。現在は経営者育成プログラムの講師などを務める。近著に『40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい』(文響社)。
(構成=増田忠英 撮影=大沢尚芳)