しかし、こうした地銀の声が金融庁の方針に反映されることはなく、むしろ金融庁は方針を強力に進めている。「森長官は、銀行とのコミュニケーションの構築ため、金融行政の問題点についても積極的に指摘してほしいと言ってはいるが、その姿勢は安倍政権のための金融行政であり、決して銀行のための行政にはなっていない」(別の地銀幹部)と手厳しい意見もある。

「また1年続くとは、悪夢のようだ」

地銀にとって、人事異動による森長官の退任は、「心待ちにしていた朗報」になるはずだったが、その夢はもろくも崩れた。「森行政がまた1年続くとは、悪夢のようだ」と悲痛な真情を吐露する地銀関係者もいる。

金融庁関係者によると、森長官は「自分は地位や立場に固執して留任するのではない。安倍政権、官邸から請われて留任するのだ」と言っているようだ。それだけ、森長官は安倍首相や政権の意向を汲んだ政策を進めてきたのだろう。

“一強”と言われた安倍首相の権勢は、森友学園問題、加計学園問題を契機に、東京都議選の自民党大敗という形で、明らかに衰えが見えてきた。安倍政権を後ろ盾に、強硬に金融行政を進める森長官の権勢は、この先も衰えずに進むのだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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