下北沢は、Pヴァインの創業の地でもある。ここからスタートさせたコンビニ事業を、どこまで大きく育てるつもりなのか。
「大手コンビニの平均日販(1日の売り上げ)は、セブンイレブンが70万円、ファミリーマート、ローソンでそれぞれ50万円強くらい。僕らは最初からそこに到達しようとはしていないですが、それがいかにすごい数字なのか、身にしみて感じています。それと、nu-STANDを作る過程でやっぱり自分たちの感性に酔って『かっこいいね』と盛り上がっていた部分があったんですが、開店して、そんなことは世間の人には一切関係ないと気付かされました。むしろそれが邪魔になって、入りづらくしてしまっている部分がある。コンビニに入るときって、何も考えないですよね。その違いが、日販の差なんだと思います。
でもやっぱり少しでも近づきたいし、1店舗出して終わりではなく、きちんと会社のひとつの柱にしていきたいと考えています。あまり大きなことは言えないですが、ひとまずは10店舗くらいの小さなチェーン展開をできたらいいですね」
今後は、日本各地の名産品やクラフトビールなど、大きな流通には乗らない“地元”のものの扱いを増やしていきたいと考えているという。
「今のコンビニはプライベート・ブランド商品が増えて、どこのお店に入っても似たような棚になってしまっているのが、ちょっとつまらないと思うんです。nu-STANDでは、スタンダードな商品を置きながら、オルタナティブな、埋もれているものを見つけてきて紹介したい。それはレコード会社としてPヴァインがやっているのと同じことなので。ただ、これもなかなか流通ルートの開拓が難しいので、現在ホームページ上で募集中です。会社の朝礼でも、地方出身者に『地元のものを紹介してくれ』と伝えています(笑)。コンビニのイメージとは真逆の、DIYな手法でやれることをやっていきたいと思います」