共働きが珍しいことではなくなった時代。ここ数年で、日常的な家事を外注する「家事代行サービス」を利用する人が増えている。経済産業省が2014年にまとめた調査(「家事支援サービスについて」)によると、市場規模は、11年度に811億円、翌年度には980億円と拡大しており、将来的には6000億円になると推測している。需要の高まりとともに新規業者の参入も増え、サービス形態も広がった。業態を大別すると、従来からある「派遣型」と、新しい「マッチング型」に分けられる。
派遣型は、サービス提供会社が家事を代行するスタッフを雇用。依頼主の要望に合わせて、提供会社がスタッフを選び、依頼主の家へ派遣するというのが一般的なスタイルだ。家事代行人の管理からトラブル処理など、サポート体制も整っている。
業界の先駆け的存在の、「ベアーズ」には、ベテランのベアーズレディ(ハウスキーパー)が多数在籍。普段の家事全般はもちろん、専門的なハウスクリーニング、ベビーシッターやシニアサポートなど、目的ごとにさまざまなコースを用意している。日時を指定して定期的に来てもらったり、「週末に来客があるから」と単発でお願いしたり。専任のベアーズレディが不在時に対応してくれる「デラックスプラン」は、共働き夫婦に人気だそう。
「お客さまひとりひとりの要望を実現していったら、サービス内容がどんどん増えていったんです。“マッスルベアーズ”といって、力仕事に特化したプランもあります」
そう説明してくれたのは、同社マーケティング部部長の後藤晃さん。かゆいところに手が届くサービスは、老舗ならでは。家事代行のサービスをプレゼントする“おそうじ美人”というギフト商品も発売している。
ベビーシッターと介護ケアの2本立てのサービスを提供するのは「ポピンズ」。“ナニー”と呼ばれるベビーシッターは、イギリスの専門学校が行う厳しい研修を受けた精鋭。大事な子供を預かるサービスゆえに、人材育成には特に力を入れている。
「入会時にはコーディネーターが各ご家庭を訪問し、教育方針や子供の性格を聞いてからナニーを派遣しています。最近需要が高まっている介護ケアも同様。家族の一員となって身体介護や外出同行をするので、ご家族とはしっかりコミュニケーションを取ります」(同社・中村紀子CEO)