実際に国内大手ドラッグストアのウエルシアでは「バイヤー推奨品」として1500店舗以上に導入された。しかも、花王グループから展開要員を出すのではなく、店舗主導で展開されたのだ。小売業の本部組織からのある意味、トップダウンの指示で店頭で実現される仕組みは、本部機能の強い海外の大手小売業との交渉にも通じる。
「販売に甘えていた」
さらに、今後も拡大が予測されるEコマースの部署に所属している玉置晋太郎さんにも話を聞いた。配属して4カ月目、花王本社入社の3年目だ。「大学時代、研究調査で、中国での資生堂さんのブランド立ち上げ戦略について研究をしました」
これまで取材した社員とは違う雰囲気があった。続けて尋ねてみた。やはり、将来は花王の強い国内ではなく、海外でビジネスをしたいのか?
「めちゃくちゃあります。中国などでマーケティングをしてみたいですね」。
花王では将来を見据えてEコマース部隊の人員を増やしている。この異動も会社の期待感の表れだろう。昨年12月までは事業ユニットで洗顔料のマーケティングを担当していた。
「事業ユニット時代は販売に甘えていたところがありました。新製品を出せばCMが流れ、配荷は高い確率ででき、ある程度売れる。でもそのやり方は海外では絶対に通用しません。海外ではいかに流通のパートナーを見つけ、大手小売業と協働できるかが重要かと思います」
若い年次から、海外に目を向け、新しい業態でのビジネス拡大の方法を体験させる。花王の人材育成上の大きな変化だ。