職場に幸せを持ち込む方法

前野教授によると、「幸せ」について少し意識を変えるだけで人間関係が円滑になったり、ひいては仕事の効率があがったりするそうだ。

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 研究科委員長・教授 前野隆司氏(撮影=岡村隆広)

「会社の同僚や仲間にハグする気持ちを持つ。もちろん実際にしなくてもいいんですが(笑)、愛情や信頼感、尊敬みたいなものが1%増えるだけで、仕事の効率が5%アップし、結果が20%くらい良くなる。雪だるま的に増えていくイメージです。

自分の想いを込めること、そして恥ずかしがらずにその気持ちを伝えることが大切です。お金は交換ですが、愛情や幸せは与えると増えていきます。ですからビジネスの現場でも、『合理的じゃない!』など言わずに、幸せを増やした方がよいのです。そうすると自然と仕事の効率もあがりますからね」

「世界中の人々は幸せになるべきだし、なる方法もかなりわかってきました。あとは力を合わせてそれを広めていくだけ」と力説する前野教授。心から世界の幸せを願うその想いに、多くの人が共感し、ともに活動を続けている。日本発の幸せのムーブメントは、個々人のみならず企業や日本という国家、ひいては世界中へと広がってゆくのだろうと強く確信するとともに、この記事を通してその想いがわずかでも伝わればと、祈らずにはいられない。

前野隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 研究科委員長・教授。博士(工学)。1962年生まれ。86年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了後、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授を経て、2006年慶應義塾大学工学部教授に。08年同大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、11年よりSDM研究科委員長。
(撮影=Shinji Steve Umeda、岡村隆広)
【関連記事】
幸福度の要因は"資産"より"昼と夜の営み"
50代までの人間関係で幸福度が決まる
年収10億 富裕層の結論「“ビンボー”が幸福を呼ぶ」
出身大学で人生の幸福度が決まるか
雑念のない時間が多い人ほど、幸福に近づく