幸福学の第一人者が語る「これからの幸せのあり方」
大盛況のうちに幕を閉じたシンポジウム終了後、主催者である前野隆司教授に、シンポジウムを終えた今、何を感じているか、さらには今後の展開について話を聞いた。
「1500名もの申し込みがあったイベントの会場すべてが満席で、参加者の皆さんもイキイキとした笑顔で見てくださっていたので、幸せについて考えるというコンセプトがしっかり伝わっていたなという実感があり、ものすごく幸せを感じています。
対話マラソンに関しては、私自身こんなにも長時間話し続けたのは初めてで、正直少し疲れましたが、今日登壇してくれた人たちは、皆さん世界中を幸せにしたいと考え、その方法について、深く理解している人ばかりです。ですからこれをすべて聞くことができるというのは本当に素晴らしいことでした。
初めて大規模なシンポジウムを開催し、こんなにもたくさん幸せについて考えている仲間がいるということがわかり、“幸せ2.0”が始動した手応えは感じています。今後は仲間の輪を広げ、さらに大きなムーブメントにしていけたらと思っています」
必ずしも幸福度が高いとは言えない現代の日本において、職場や家庭などを含めてどう社会に“幸せ”をどう伝えてば良いのだろうか。
「今日の対話のなかでも、“好奇心と思いやり”や“愛”などたくさんのキーワードが出ていましたが、それらを本当にひとりひとりが意識することで、世の中は変わると思うんです。人の想いは思った以上に伝わります。
以前の私は、研究により明らかにした“幸せの4因子”を伝えたいという想いで活動していました。ところがある時から、みんなに幸せになってもらいたいから幸せな世界を創りたい、という想いに変わったんです。するとその瞬間から、私の提唱する幸福学が一気に広がりをみせました。ちょっとした想いの違いなんですが、自分の研究成果を広めたいというちょっとしたエゴを持って人に伝えるのと、『世の中を幸せにしたいから私の研究成果を使ってください』と心から思うのとでは伝わり方が全く違うということを実感しました」