心を整える方法として話題のマインドフルネス。実際にどんな効果があるのか。少年時代にそのテクニックを教わってから人生が180度変わったという医師にインタビュー。
スタンフォード大学医学部臨床神経外科教授 ジェームズ・ドゥティ●カリフォルニア大学アーバイン校からテュレーン大学医学部に進みウォルター・リード陸軍病院、フィラデルフィア小児病院などに勤務。スタンフォード大学CCARE所長。起業家、慈善事業家としても活動。

世界の有名企業がこぞって導入

目の前を飛び交う膨大な情報と、処理能力を超えるタスクに忙殺されがちな現代人。いつの間にか精神的なゆとりを失い、気づかぬうちにパフォーマンスが低下しているような状態に陥っている人も珍しくないだろう。

そんな昨今のビジネスシーンにおいて、「マインドフルネス」という言葉が市民権を得つつあることをご存じだろうか。マインドフルネスとは「余計な評価や判断を排除して、あるがままの自分に注意を向けている状態であり、“いま”にしっかり気づいている状態」。これを鍛錬する伝統的な方法が瞑想である。マインドフルネスは、ストレスを軽減するだけでなく、発想力を高め、生産性を上げる効果があると、数々の研究で実証されているという。

2007年、米グーグルの社員がマインドフルネスをベースにした研修プログラムを開発し、世界の名だたる企業が続々と導入。日本のビジネスパーソンの間でも話題となっている。

そのマインドフルネスによって、どん底の状態から人生を逆転させたある医師がいる。世界20カ国以上で翻訳され、世界的ベストセラーになっている『スタンフォードの脳外科医が教わった 人生の扉を開く最強のマジック』の著者で、スタンフォード大学の脳外科医・ジェームズ・ドゥティ氏である。

著書に綴られるドゥティ氏の半生は、実に起伏に富んだものだ。もともと貧困家庭に生まれ、父親はアルコール依存症、母親はうつ病を患い、将来に一切の希望を見出せない環境で育ったドゥティ氏。12歳のころ、近所の手品用品店で出会ったルースという女性から、ある4つの「マジック」を教わる。