パブリックだけでは解決できない問題が急増

中山こずゑ・横浜市文化観光局長

【三宅義和・イーオン社長】横浜市が、公民連携の取り組みとして進めている「共創フロント」。今回、私どもイーオンも、訪日外国人旅行者の受入環境整備に関する連携が協定締結となりました。非常に楽しみにしているわけですが、そもそも、このプロジェクトはどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

【中山こずゑ・横浜市文化観光局長】これは私が横浜市に来る前、2008年6月から動き出しています。背景には、都市の課題が、いろいろと複雑になってきていることがあります。よく公とか民、英語で言えば、パブリックセクターとプライベートセクターということになると思いますが、パブリックだけでは、解決できない問題というのが、すごく増えてきました。

人口にしても、東京に次ぐ373万人。次が大阪市の270万人ですから、巨大都市と言っても差し支えありません。そこでの課題の解決をするには、やはり民の力が必要だというのが、もともとの発想でした。他市に先駆けて取り組んだわけですが、イーオンさんとの提携ができるというのも、このスキームがあったからこそと喜んでいます。

【三宅】ありがとうございます。これまでの実績等を見ますと、ぐるなびさんは飲食。ヤマト運輸さんは手ぶら観光。こういう、やはりインバウンド対応が多いのですけれども、JVCケンウッドさんの子育て支援に関する提携があります。これから少子高齢化が進む中で、女性の社会進出が非常に大きなテーマになっています。

私どもイーオンも、実は従業員の7割が女性で、大変関心があるところです。また、横浜市と言えば「保育所待機児童ゼロ」を目標に掲げています。中山さんも子育てをされながら、仕事でも大変素晴らしい実績を、残してこられました。当時のご自身の経験から苦労されたことを聞かせていただけますか。

【中山】私が子どもを産んだときは、まだ待機児童の問題など、まったく顕在化されていませんでした。個人的には0歳児保育で、当時6人しか入れなかったところに入れたのは大きかったですね。でも、子どもが3歳のときに、連れ合いが、シンガポールに単身赴任になってしまいまして……。

私自身も海外出張が多くて、振り返るとあの5年間、どうやって子育てをしていたのだろうと思うぐらいです。だいたい午後7時で保育所は終わってしまうので、そのあと、ベビーシッターさんに迎えにいっていただいて。で、ベビーシッターさんが2時間しかできないというと、そのあと、2時間という感じで、深夜までとか、泊まりのベビーシッターさんもお願いせざるを得なかったわけです。