「プラレール」「トミカ」「リカちゃん」「トランスフォーマー」。大人から子どもまで、誰もが知るオモチャたちをそれぞれ世に送り続けてきたタカラとトミーが合併したのは2006年3月のこと。それから4年、新生タカラトミーは合併後最高収益を記録した。2010年3月期の連結決算では純利益が前期比6.5倍の89億円となり、連結売上高は1787億円、営業利益は前期比2.1倍の104億円となったのだ。
なかでも「ベイブレード」人気が目覚ましい。現在、累計出荷数は1800万個を超えており、玩具業界全体のけん引役となっている。
現代版ベーゴマである「ベイブレード」の初代が発売されたのは、今から約10年前の1999年。01年にはアニメもスタートし、少年たちの間で爆発的な人気となった。日本国内のみならず世界55カ国で発売され、累計1億6000万個を売り上げる記録的大ヒット商品となった。
数年間の空白期間を置き、満を持して二代目「ベイブレード」が発売されたのは08年8月のことだった。その名も「メタルファイトベイブレード」と、より一層“最強”感を打ち出したネーミングで小学生男子たちの心をがっちりとつかんだ。競うように群がる子どもたちにより店頭からは商品が消え、街の玩具店からは「早く在庫を補充してほしい!」と矢の催促だ。
この不況、少子化で玩具が売れている。その理由は何なのだろう。さらに言えば玩具は生きていくうえでまったく必要ない。衣食住の中で真っ先に買い物リストから外される確率の高い生活不必要品だ。しかも世の中にはテレビゲームや携帯ゲームがあふれている。ニンテンドーDSやWiiシリーズ、屋内外を問わず液晶画面に張り付いて黙々とゲームに興じる子どもの姿を見るのは珍しくない。そんな中、いくらカッコいい名前をつけたところで所詮ベーゴマの進化バージョンである「ベイブレード」が少年たちの間でこれほど人気を博したのはなぜなのか。
そもそもあらゆる商品の中で、玩具ほどヒットするかどうかの見極めが難しい商品はない。何しろ相手は子どもである。
「なんでこんなものが欲しいの?」と大人が訝るガラクタを収集してくる気まぐれな彼らの需要を予測し数値化するのは相当な困難が予想できる。
日本の玩具黎明期、最初に歴史に名を残す大ヒット商品となったのは、何といっても「ダッコちゃん」(現だっこちゃん)だろう。腕にぴたりとくっつくビニール製の肢体、見る角度によって閉じたり開いたりする愛らしい目。定価180円のキャラクターに日本中が夢中になった。