2020年の教育大改革「オール5タイプはいらない」
2020年に行われる教育制度改革は、明治維新以来の大改革といわれる。
大学入試ではセンター試験が廃止され、記述問題の多い「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が実施される。国立大学の定員の3割がAOや推薦入試に変わり、一般入試でも2次試験では小論文やプレゼンテーション、面接などを取り入れることが検討されている。
評価されるのは、例えば、「単に正解が出せる子ではなく、最適な答えを探って出せる子」や「オール5タイプではなく、1つのことに秀でている学生」だ。
こうした新しい大学受験に対応するため、小学校~高校までのカリキュラムも大幅に見直されている。そこで、各家庭の親がどのような対処をすればいいか要点が整理されているのが発売中の『プレジデントFamily2017春』号(特集:わが子の受験 大激変!)だ。
先ほどの改革案は、いわば「周回遅れ」といわれる日本の教育を世界水準に引き上げるための施策だが、同特集ではこうした教育制度改革をずっと前から“先取り”しているような若者3人にも取材している。
彼らは、小中学生時代からインターナショナルスクールや外国の寄宿学校で学ぶなど、義務教育を受ける普通の日本の子どもとは明らかにバックグラウンドが異なる。しかし後述するように、国内の教育環境でも親のサポート次第では、彼らのような子どもに育てあげることは不可能ではない、と感じたのだ。
3人の略歴を簡単に紹介すると……。
まず、起業家の牧浦土雅さん(23歳)。ルワンダで農業事業、タイで医療事業、日本で東京大学とドローン開発、現在はフィリピンとインドネシアを拠点に教育事業に取り組む彼が中学・高校と過ごしたのは、イギリスのチェルトナム・カレッジやストラスアラン・スクールという名門ボーディングスクール(全寮制の寄宿学校)だ。
脇田紗也加さん(21歳)は名古屋のインターナショナルスクールで学んだあと、カナダやベルギーに留学。世界を飛び回って公演をするプロのバレエダンサーとして多忙にもかかわらず、ハーバード大学リベラルアーツ学部にも合格し、二足のわらじを履いている。
角南萌さん(18歳)は、女性プログラマーの世界大会「テクノベーションチャレンジ2015」で全米1位になった。現在、全米の超名門進学校10スクールのひとつであるボーディングスクール、フィリップス・アカデミー・アンドーバー(12年生、日本でいう高校3年)に留学している。
欧米の超一流校の教育を知る彼ら3人に取材して面白かったのは、「留学して何を学びましたか?」「どんな力が身につきましたか?」と聞いた時の答えが「同じ」だったことだ。