日本版Apple Pay人気の凄まじさ
ところが、2016年10月にアップルが電子マネーのスイカを中心にしたアップルペイのサービスを開始したので、作戦が大きく狂いました。スイカは日本独自規格のフェリカで動いていますから、日本以外の場所では使うことはできません。これでは、モットーとする統一規格(グローバルスタンダード)に反するので、VISAとしては、とても認めることができないのです。
しかし、日本版アップルペイの人気は凄まじく、各カード会社がコマーシャルを矢継ぎ早に始めました。あっというまに日本を席巻する勢いです。やはり、汎用性があり人気の高かったスイカを採用したのがよかったのでしょう。利用できる端末もすでにたくさんあって、利用者も加盟店も手間なく使うことができるというのが受けた理由ではないかと思っています。
ここからは私の個人的見解です。好調のアップルペイに焦ったグーグル+VISA陣営は、何とか手を打たねばならないと考え、新しい戦略をたてました。それがフェリカを採用しての楽天Edyでの攻略だったと思います。日本市場を突破するにはすでに主流になっているフェリカを活用するのが近道と考えたのでしょう。
また、東の横綱のスイカをアップルが使うなら、自分たちは西の横綱の楽天Edyを使おうと考えたのも納得できます。アップルの成功例を真似て入ってきたということです。
しかし、違いをだすために、今後は工夫を凝らすはずです。たとえば、アップルがスイカ利用のビジネスマンをターゲットに戦略をたてているのに対して、アンドロイドは楽天Edyで買い物する女性・主婦層を狙うのではないかと思います。その戦略でいくと、次はナナコ、ワオンといった流通系の電子マネーを入れるでしょう。これならアップルペイとの差別化ができるので勝算はあるかもしれません。
しかし、私はこれらの電子マネーは本筋ではないとみています。電子マネーを並べるだけなら、おサイフケータイを使えばいいですし、そちらの方が性能は高いです(これはネットで話題になっています)。ですから、電子マネーは、あくまでつなぎであり、アップルつぶしのために作られたものだという印象が強いのです。むしろ、主眼は、「クレジットカードへの対応はどうするのか」です。クレジットカード取り引きを楽天Edyのインフラを活用してやるのではという人がいますが、Edyはプリペイドなので対応は難しいのです。