「相手が得をする」で保護主義に陥る恐れ

環太平洋経済連携協定(TPP)の発効が危ぶまれている。2016年2月に日米など12カ国が協定文に署名したが、発効には各国の議会承認が必要となる。日本では近く議会承認が得られる見通しだ。ところが、米国では大統領選挙でTPPに強く反対するトランプ氏が当選したことで、これまでの交渉の努力が水の泡となる恐れが強まっている(※1)

大統領選を争ったクリントン氏も、トランプ氏ほどではないが、TPPに対して否定的な発言をしていた。両氏は、TPPによる貿易自由化が米国の自動車産業などの製造業に大きな打撃を与え、失業をもたらすとして、TPPに反対してきた。