インタビューを終えて

テスラモーターズを単なる「EVメーカー」と考えると、将来を見誤るかもしれない。インタビューの中で、ブランケンシップ副社長は「我々は車の会社ではなく、IT(情報技術)の会社だと思う」と語ったが、たしかに業態としてはグーグルやアマゾンなどのIT企業に近いのではないか。

その根拠は、電池モジュール631個すべてに基板が取り付けられ、電池一個一個の働きを完璧に情報管理している点にある。この根底には、シリコンバレー発の彼らがパソコン開発で培った電池を長持ちさせる最先端技術があり、この技術を進化させていくと次世代送電網(スマートグリッド)の核心部分を握ることが可能になるからだ。

テスラの車づくりも、多くの部品を外から買い集めて組み立てる「水平分業型」のパソコンに似ている。従来のガソリン車はピラミッド組織による「垂直統合型」の生産が強みを発揮してきたが、EVになると自動車産業に大きな構造転換の波が来ることを、彼らは見事に先取りしている。

(的野弘路=撮影)