「が」や「て」を置き換えてみる

いくつか具体的な方法をご紹介しましょう。1つ目は「1つの文で伝えることを1つに絞る」。あれも、これも、と盛り込むと文章は長くなります。その点で注意してほしいのが、「が」のつかいすぎ。

「が」で言葉をつなげば、文章がスムーズにつながったような気になります。しかしだからこそ、気をつけなくてはなりません。同様に「て」も要注意。<朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べて……>というように「て」は乱用しがちなつなぎ言葉です。

句の前後の関係をはっきりさせるためにも、「が」や「て」を別の言葉に置き換えてみましょう。

<高齢者は年々増加しているが、若年人口は今後減少する見込みだ>という文では、「が」を「一方」にします。<高齢者は年々増加している。一方、若年人口は今後減少する見込みだ>とすれば、2つの事実があることが明確になります。

また言わなくてもすむことを何度も繰り返している文や、同じ言葉がたまたま重なってしまっている文にも注意しましょう。<ゲストの笑顔や聴衆の皆さんの笑顔が見られた>という文は、<ゲストや聴衆の皆さんの笑顔が見られた>と<笑顔>をまとめたほうが、わかりやすいはずです。

一文が長くなったと感じたときには、言い換えのできる単語や不要な言葉を探してみましょう。<ここでは具体的な事例を示すといったようなことは目的としてはいない>という文からは、「といったような」と「は」を削ることができます。<ここでは具体的な事例を示すことは目的としていない>とすれば、すっきりします。

接続詞にも注意が必要です。文と文のつながりに不安があると、つい接続詞が多くなります。たとえば「しかし」のつかい方。<悪質商法は後を絶たない。しかし、もし自分が騙されたらどうすべきか>という文は、<悪質商法は後を絶たない。もし自分が騙されたらどうすべきか>とすべき。余計な「しかし」は整理しましょう。

誰もが最初から簡潔な文章を書けるわけではありません。私も言葉を整理するため、推敲を重ねます。ぜひ10個のポイントを仕事に役立ててください。

(談)