伝言メモや封筒の宛名など、オフィスで文字を書く場面は意外と多いもの。実は、字をうまく見せるには、ちょっとしたコツがあるのです。プロの書家・根本 知さんが、簡単に美文字になれる6つのルールを伝授します。

ルール1:右肩上がりと打ち込みで品を

字=根本 知

むやみに練習しなくても、字を美しく見せる簡単な方法、それは「右肩上がり」を意識することです。丁寧に字を書こうとして横線をまっすぐに引く人がいますが、むしろほんの少し右肩上がりに書くほうが、引き締まった印象になります。

さらに字に品格を持たせるには、「打ち込み」を作るのがポイントです。「打ち込み」とは、毛筆の筆の入れ方をペン字にも生かし、文字の書き始め(起筆)を強調すること。それだけで、きちんと丁寧に書かれた文字に見えるのです。

毛筆では、縦線や左払いの起筆で、斜め45度にトンと筆を置き、点を打ち込んでから筆を走らせます。ペン字でもこの最初の点をしっかりと打ち込むと、品格のある文字になります。

ルール2:強調するのは一本だけ

字=根本 知

線が多く並ぶ文字を美しく見せるコツは、「一画強調」。つまり、強調する線を一つにとどめることです。「青」なら、4画目の横線だけをしっかり左右に伸ばします。

ここで大切なのは、ひとつ主役を作ったら、その他は全て黒子にするということ。青の場合、4画目の横線以外の横線は短く、しかも同じ長さにそろえて書くのがポイントです。このとき、「月」の幅も、上の短い横線の長さにそろえると、より美しく見えます。

縦線が多い字も、考え方は同様です。「出」なら、1画目の縦線をしっかり伸ばし、他の縦線は長さを控えめにそろえましょう。

主役は伸ばし、黒子は控えめに。これは、偏とつくりのない字に広く応用できるルールです。