ルール5:偏は右端をそろえる

字=根本 知

偏とつくりからなる字は、左右のバランスに気を配ります。大切なのは、偏の右端をそろえること。後から書くつくりが窮屈にならないよう、縦長に書くとよいでしょう。

また、偏の重心を右寄りにする(文字の中心に寄せる)ことで、つくりとの一体感が生まれます。木偏なら、だいたい3対1程度の位置に縦線を引くとバランスがよくなります。

画数の多い金偏を少し練習すれば、偏の書き方のコツがつかめるはず。「銀」は、偏とつくりの横線で右肩上がりを意識すると、より美しく見えます。

ルール6:「ま」は魚、「す」は米を描く

字=根本 知

ひらがなを美しく書く法則ですが、ここでは語尾によく登場する「ま」と「す」をマスターしましょう。ポイントは結び、輪になる部分の書き方です。

「ま」は、横を向いた魚のような形をした「おさかな形」の結び。アルファベットの「J」を書き、続けてひらがなの「へ」を書くと美しく見えます。

一方の「す」は、「おこめ形」の結び。胚芽を取った白米のように、わずかな隙間を作って折り返します。「す」の原形は「寸」ですから、2画目の縦線はやや右よりに書くとバランスが整います。

根本 知
博士(書道学)、書家。東京都内の大手百貨店やホテルでの講座、企業研修などでペン字を指導。美文字をつくる12のメソッドを紹介した著書『読むだけで「うまい」と言われる字が書ける本』(CCCメディアハウス)が好評。

※本誌最新号では、「うまい!書き方」特集を掲載。お礼状、挨拶状、依頼状、おわび状などの手紙から、日々のメールやツイッター、フェイスブックまで、文章を書く機会が増えている今、心を揺さぶるような文章が書けたら、毎日の仕事は大きく変わるはず。もっとうまく書きたいと願うすべての方にお届けする特集です。詳しくは「PRESIDENT WOMAN 2016年8月号」をご覧ください。

構成=瀬戸友子 字=根本 知