長時間残業で株価を上げた企業ランキング

平均月間残業時間が60時間以上あった企業における、2007年末から16年6月末までの株価上昇率上位20社のランキングが表1だ。1位は株価上昇率603.05%の日本M&Aセンター、2位は同601.14%のサイバーエージェント、3位は466.00%の安藤・間という結果になった。

特徴的な点の一つとして恵川氏は「日本M&Aセンターやキーエンスといった、高いインセンティブが有名な企業が上位に来ています」。実際に1位の日本M&Aセンターには「数字を上げれば上げるだけ相応の評価と報酬が得られる」「成功報酬がべらぼうに高い」、12位のキーエンスには「数字を絶対的な指標として評価されます。自身の成果が上がれば間違いなく評価として返ってきます」といった口コミがあった。この2社は口コミの数値データから算出する総合評価の値も高く、どちらも業界内で5位以内にランクインしている。待遇や社内環境への満足度が高いため、残業時間の長さが苦になっていないようだ。

もう一つの特徴的な傾向として恵川氏は「建築や不動産業界の企業が多くランクインしています」と話す。Vorkersの「建築・土木・設備工事業界」セグメントの安藤・間と大成建設が、「不動産関連・住宅業界」セグメントの日本ハウスホールディングス、共立メンテナンス、大東建託がランクに入っている。ただし企業ごとに社員の感じ方は異なるようだ。例えば3位の安藤・間は「ものづくりの醍醐味がある」「建物が完成したとき充実感が味わえる」という書き込みが多かった一方で、「相対評価なので結果が全てではない」「私の所属部門では、各人の給料に差が出ないように調整をしていた」といった口コミがあった。それに対し8位の日本ハウスホールディングスは「営業は優秀ならばどんどん出世していける明確なシステムがあり、やりがいがある」「数字が少しでも達成できなかったらかなり怒られる」といった口コミがあった。