誰もが手に入れたいが、どこにあるのかわからない「幸福」。しかしある実験では、脳内の幸福度を測定できるという。そこで浮上したもっとも幸福な人の素顔とは――。

ポジティブな人は左脳が活発?

世界一幸福な人と聞いて、どんな人物像を思い浮かべるだろうか。豪邸に住む大富豪や、大勢の家族に囲まれた長老を想像した場合、驚くかもしれない。なぜならマチウ・リカールこそ、その人なのだから。

マチウ・リカール
1946年、フランス生まれ。僧侶。その他に著述家、翻訳家、写真家、ダライ・ラマの通訳などの顔もあわせ持つ。(Getty Images=写真)

マチウが世界一幸福と呼ばれる根拠は、脳にある。脳と感情の関係を研究する脳神経科学者リチャード・デビッドソン博士は、幸福感、喜び、気力の充実など、肯定的な感情を持ちやすい者は、大脳皮質の前頭葉の一部、左側の前頭前野が活発であるという事実を突き止めた。逆に右側の前頭前野が活発な者は、悲しみ、心配、悩みなど否定的な感情を持ちやすい。