――株式投資をする場合、何を基本的方針とすべきだとお考えですか?

北尾 デイトレーダーのような短期的思考ではなく、長期を基本にします。といっても、3年後まで読むのは経営者自身でさえ難しい。長期とは1~2年。その期間で、目標とするリターンにある程度達したら、満足して売る。「まだまだ上がるぞ」と欲を出さない。あるいは、下がり始めた途端、「すぐに売らないと、もっと下落して損が拡大する」と焦らない。損をしたくないというのも欲の一種。欲を出さないことがお金儲けのコツです。

――銘柄を選ぶポイントは何ですか?

北尾 ファンダメンタルズのいい会社、つまり企業として基本的な収益力を備えた会社を選ぶことです。それが長期投資を可能にします。株価が下がっても焦って売る必要がないからです。「辛抱万人力」という言葉がありますが、ファンダメンタルズのいい会社なら、しばらく辛抱して相場全体の回復を待てばいい。1~2年の間には必ず売り時があります。

――トヨタ自動車、キヤノン、ソニーなどの国際優良株はいま、「買い」ですか?

北尾 どんな有名企業でも、成長産業か成熟あるいは衰退産業か、よく見極める必要があります。成熟・衰退産業にあっても、富士フイルムのようにアナログからデジタルへ、変化を先取りしてどんどん変化して、新しい成長商品を開拓する能力があるか否か。

成長企業を見極めるポイントは、パーキャピタル、つまり従業員1人あたりの利益の絶対額です。重電やコンピュータの日立製作所や富士通、NECなどの製造業はこの数値が下がっている。一方、誕生後あっという間に時価総額十傑入りしたグーグルは、その額が非常に高い。