新型プリウスPHVはどんなクルマなのか

さて、北米市場でのエコカーの主役になるという重責を担うことになったプリウスPHVに話は移る。先代のPHVは販売的には成功したとは言いがたいものがあった。そこで今回、旧型の時に寄せられた声を元にさまざまな面から見直し、十分に対策を練って新型は登場した。

PHVとはプラグインハイブリッドの略であり、普通のハイブリッドカーと違って、家庭用電源から充電ができる。つまりバッテリーが充電されていれば、スタートしてから電気を使い切るまでは一切エンジンを使わずに、電気自動車(EV)として走ることができるのが特徴だ。この電気だけで走れる距離を「EV走行距離」という。

プリウスPHVのEV走行距離は、初代では発表値で26.4kmだったが、新型ではこれを大幅に伸ばし、60km以上とした。「EV走行距離が短い」という声に応えたものだ。

顧客調査で不評だった点はもう1つある。それは「プリウスとの差別化が十分でない」という声だ。プリウスPHVは普通のプリウスに比べ、旧モデルで50万円弱の価格差があった。これは補助金分を補正した上での実売価格の差額だ。プリウスよりも50万円高いにも関わらず、見た目ではほとんど判別が付かなかった。しかし顧客は「価格差なりの差別化をしてほしい」と求めたのである。

新型プリウスPHVの価格はまだ発表になっていないが、おそらく新型プリウスと比べて同程度の価格差はあると思われる。そこでトヨタは、今回はひと目で分かるようにプリウスPHVのデザインを変えた。フロントにはプリウスの異形ランプとは異なり片側4連のLEDランプを組み込み、エコカーのフラッグシップであるMIRAIとの共通性を高めている。こうした差別化によって、プリウスPHVの位置づけをはっきりさせた。

新型プリウスPHV。ルーフ部分には太陽電池パネルが搭載されている(左下)。カーナビは11.6インチの縦型大型ディスプレイ(中)。普通充電インレットを左、急速充電インレットを右に配置(右)