環境技術は普及しなければ意味がない
トヨタを筆頭に、日本の自動車メーカー各社が世界のトップと互して戦えるのは、北米市場に強いからという面が多分にある。ところが2018年から、北米での売上に大きく貢献していたプリウスが、日本で言うところのエコカー認定から外されることに決まった。しかも日本のエコカー制度のように、補助金が出るか出ないかというレベルの話ではなく、販売台数の一定比率をエコカーで賄わなければ多額の罰金を科せられるという厳しい制度だ。だからこそ今後は、エコカーとして認定されるプリウスPHVを、プリウスに代わり数多く売っていかなくてはならない。「全てのクルマが大事」という理念を掲げつつも、これからのトヨタは新型プリウスPHVを成功させなくてはならない大変な状況なのだ。そういう北米の規制についての所感を尋ねると豊田社長の言葉はむしろ明るかった。
「プリウスはこの20年、エコカーをリードしてきたのですが、それだけの時間をかけて、また普及という意味でも、もう特別なクルマではなくなりました。カローラと同じで、当たり前になったんです。確かに北米の特別枠から外れましたが、こと環境に関しては、どんなに素晴らしい技術であっても、普及しなければ意味がありませんからね」
カローラ並みに売れたプリウスはもう特別枠ではなく、ガソリン車同等の“普通のクルマ”として、環境貢献を当たり前にしていくことになった。言わば“エコカー”を卒業したのだと豊田社長は捉えている。