音声入力したメモの管理・検索も効率的に

野口氏が実際に音声入力でとっているメモの例。
――字数制限の厳しい原稿を書かない人にも、音声入力が有効なシーンがあれば教えてください。

【野口】多くの人にとって、音声入力でのメモが便利でしょう。今までのメモは紙とペンがなければ残せず、後になるとアイデアなどきれいに忘れている。一番深刻なのは、寝るときと朝に思いついたことで、その時に紙とペンがなければまず覚えていないものでした。そして無事書き留めたにせよ、紙のメモは失くす。この2点に長らく悩まされてきましたが、スマホの音声入力で解決しました。

――私はスマホやパソコンで作ったメモがたくさんできてしまい、あちこちに散らばって、何をどこに書いたかわからなくなってしまうのが困ります。

【野口】メモは普通の言葉が多いので、検索をしても目的のものが見つからない場合が多い。原稿の場合には、Gmailは検索が強力だから、すぐに引き出せます。原稿を書いて編集者に送ると、いやでもGmailアーカイブに残る。すると後日原稿を参照したい時に、編集者の名前で検索すれば出てきます。普通のメモの場合は、Google Document上に書き、タイトルをつけて保存していきます。閲覧や編集をしなければ、自動的に時間順に保存されています。そこで、時間順に見ていけばよい。時間軸での検索が最も強力なツールであるのは、超整理法と同じです。

――野口さんは、どのようなことをスマホでメモしているのですか?

【野口】どんなことでもメモすればよい、「花が咲いた」など気づいたことをメモに残すのです。あとで読み返す必要が出てきても、季節は覚えていますから、時間軸で検索できるわけです。先に述べたように、普通のメモの内容はよくある言葉なので、検索するのが難しい。

さまざまなサイトでパスワードを作るたびにメモしたものをPCに置いたり、メールで自分に送るのは危険です。一番安全なのは紙に書くことで、私はパスワードだけは紙の“「超」整理手帳”に書き留めています。普通の手帳とは別にして、持ち歩かずに家に置いてあります。

野口悠紀雄氏が1996年に考案した「超」整理手帳。A4サイズの紙を四つ折りにした細長い形、蛇腹に折りたたんであり長い期間が見渡せるシートが特徴。