『話すだけで書ける 究極の文章法~人工知能が助けてくれる~』(講談社)を、まさにスマートフォンからの音声入力を使って上梓した、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問・野口悠紀雄氏。音声入力を使い始めたことで「早く書ける」だけでなく「楽に書ける」、そして自分の頭の中にあるアイデアを「見える化」できるなど、これまでの仕事スタイルが根本的に変わったほか、スマートフォンの使い方も大きく変わったという。

音声入力は本当に仕事でも”使える”のか? 成功する音声入力執筆法を野口氏に聞いた。聞き手はPRESIDENT Online編集部の吉岡綾乃。

ジョギング1回で3000字原稿ができる!

――野口さんは、「朝起きたベッドの上」「ジョギング中」「食事中」「新聞を読みながら」など、いつでもどこでもスマホの音声入力でアイデアを書き留めていらっしゃるとか。それほど気軽に文章を書けるものなのでしょうか。

【野口】文章作成で一番難しいのはスタートすること。「とにかく書き始める」ために、スマートフォンの音声入力は仕事を進める上で大変効果が高いことに気づきました。普通は執筆のために「やるぞ」と座るのがまず大変です。しかし、音声入力の場合、決意は必要ない。朝の1時間のジョギングでは、雑誌連載1回分(約3000字)の下書きができてしまいます。あまりに音声入力が楽なので、デスクに座り、目の前にパソコンがあっても、単純な入力はスマートフォンからの音声入力を使用しているほどです。

毎朝自宅近くの井の頭公園を走るのが日課ですが、これまでは立ち止まったりペースダウンして歩いたりしながら、紙にメモしていました。しかし、紙のメモは失くすのが困る。しかも走っているとき、特に朝は大変気持ちがいいので、たとえ締切間近でも、走れば必ずアイデアが出てきて1本分書けてしまうのです。もともとそうやって外で走りながら書くという習慣があったので、そのまま入力方法を音声に移行したということです。

――ジョギングをしながら3000字原稿1本分のアイデアを出されるとは! スマホに向かってしゃべっている様子を周りの人に見られませんか?

【野口】最初は抵抗がありましたが、いまは平気です。電話しているとでも思われるのではないでしょうか?

※野口さんが音声入力している様子(動画)