もちろん、明らかなパワハラは、被害者側が上司の言動をメモして蓄積し、人事部などしかるべき部署へ報告をすることが重要になる。だが、パワハラか否かすぐには見分けがつかないケースも少なくない。そんなときは……。

「上司の性格や人格を第三者が変えることはできませんが、上司の行動なら変えられる可能性はあります。上司が怒り狂ったり、意地悪をしたりする頻度は日によって異なるでしょう。そこで比較的穏やかな日に、自分を含む部下が上司にどんな対応をしたのか記録するのです。上司の話が終わる前にこちらの話を始め(かぶせ)なかった、上司にできるだけ声かけをした、上司のメールへの返信を早くした、など。また、上司との関係がいい人物の対応ぶりを観察して真似るのもいいでしょう。そうした部下の工夫や対策が上司の機嫌に直結するとは限りませんが、傾向を知ることで“被害”を最小限にできるのです」(安藤さん)

自分たちが引き下がるようでいささか悔しいが、怒れる上司を上手に受け入れ、現実的な対処をするのが、もっとも効率的で、結果的に自分のストレスも少なくすることができる。

「相手(上司)の態度を変えることに固執していると、かえって、自分が辛くなります。いい意味で、部下側が大人になって、上手に立ち回っていくことが大事ですね」(安藤さん)

安藤さんによれば、パワハラ問題が取りざたされることの多い昨今、女性を含む上司が、「部下に対してうまく怒れない」ことを悩むケースも少なくないという。何をどう部下に伝えればいいのか、わからなくなってしまっているらしいのだが、その対極にある怒れる上司に対しては、できること、できないことを見極め上手に付き合っていくことが賢明だと言えそうだ。

【関連記事】
「お姉さん的な存在」50代女性を味方につけるキーワード“感謝”
「女性は採りたくない」中小企業が今もそう考える理由
なぜ女性は管理職になりたがらないのか?
定時帰りのやり手女とやる気だけ男。役立つのは
40代女性が、愛される50代になるには