今年1月の求人数は、前年同月比で約6割減った。企業がこぞって狙ってきた「第二新卒」の求人もほとんど消えたという。転職に希望の光はあるのか──。

新卒採用を凍結させた人材紹介業の懐事情

晴れは「医薬・医療・バイオ」だけ!
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2009年2月時点から振り返るとき、その“兆し”は昨年の前半にはあった――と、ロバート・ウォルターズ・ジャパンのケビン・ギブソン社長は言う。

だが、それはあくまでも「今から振り返れば」の話で、人材紹介ビジネスの市場がまさかここまでの落ち込みを見せるとは、当時は彼も思っていなかった。

世界17カ国に支社を持つロバート・ウォルターズは、9年前から外資系企業を中心とした人材紹介を日本でも展開してきた。この業界で働き始めて15年、日本にやってきてからは8年、彼は世界各国でこれまでに目撃したどんな景気のサイクルよりも、この下落局面は「ドラマチック」であったと結論づけている。

「08年前半の求人数を見ると、ペースは確かに落ちてきていました。しかし、日本の人材紹介ビジネスは急成長を遂げており、どこかでその反動がくる。ペースの落ち込みは正常なサイクルであって、08年の後半にはソフトランディングするだろう、と見込んでいたのです」

ところがリーマン・ブラザーズが破綻した9月以降、求人数は加速度的な落ち込みを見せた。それを象徴するかのように、彼は肩を落として転職先を探す何人もの投資銀行の社員と出会っている。

「投資銀行の求人は、半年前の7~8割減。この変化は、投資銀行業務に関わる人たちの雰囲気をがらりと変えてしまった。自信に満ち溢れていた人々が、銀行はもういいよ、と言うのですから」

サブプライムローン問題をきっかけに、金融業界では中途採用のニーズが07年後半から減っていた。この落ち込みは後に、ほぼすべての業界へ雪崩のように広がっていった。

人材紹介会社大手・インテリジェンスではこの数年で若手社員の大量採用を行ったこともあり、10年度における総合職の新卒採用の停止を決定せざるをえなかった。また、業界第3位のJACジャパンは今年4月入社の内定者に対して、内定を辞退した者に100万円を支給するという策さえ打ち出した。