それでは今後どうすればいいのか?
それでは今後どうすればいいのか?
その答えは、育児期の女性に限らず、男女すべての社員を対象としての「働き方改革」です。育児期の女性に限らず、男女すべての社員を対象としての「働き方改革」です。いくら女性にだけ優しくしても周りが長時間労働で休みもとんれないようでは、職場の摩擦は拡大、女性は肩身が狭く、ぶら下がるか辞めてしまいます。
今実施されている「働き方改革」」には2種類があります。
(1)労働時間を規制する
(2)ICTによる場所と時間にとらわれない柔軟な働き方
(1)の企業の例としては、大和証券の19時前退社、伊藤忠の朝残業(20時退社)など。(2)の企業はマイクロソフト、グーグルなどの外資系に加え、今リクルートホールディングスなどが、極端に言えば「週1日しか出社しなくてもいい」という大胆な働き方改革の実験を行っています。(これは次回リクルートショックとして書きます)
働き方改革は「社員一人ひとりがそれぞれのWLB(ワークライフバランス)を大事にしながらも活躍」するためのものであり、「時間から成果」への流れです。「24時間会社に捧げる」マッチョで滅私奉公的な働き方を変え、時間あたりの労働生産性を上げようという試みです。
今までと違うのは、「男女すべての社員」を対象にするということです。
もう一つの違いは、これは「福利厚生」ではなく、「経営戦略」としていることです。
マイクロソフトは13年前から経営戦略として「フレキシブルワーク」に取り組み、制度、システム、すべてが整い、あとは「文化」だけという時期に東日本大震災が起きました。社長の決断で「1週間出社してはいけない」ことになり、社員全員が世界のどこかで仕事をすればいいということになった。結果「何も悪いことは起きず、むしろ良いことばかり」だったそうです。この「全員が体験する」ことで、最後の「文化」という壁を越えたのです。
この「働き方改革」の恩恵を一番受けるのは、やはり「育児期の男女とくに女性」でしょう。
働き方改革を実施すると、「時間に関係なく成果で評価」されるようになり、育児期の女性も「時間制約を持たない社員」とフェアに競えるようになった。その結果定着だけでなく、時短を長くとる必要がなくなり、活躍できるようになるのです。
わたしは特に「労働時間コントロール」が女性には有効と思っています。
育児期の女性がエンジンとなって働き方が変わると、同時に介護離職も減り、男性が家庭参画し、また勉強したり社外で地域活動する時間も増える。インプットが増えることでイノベーションをもたらし、社員の流出を防止し、優秀な人材を集められるようになる人材戦略としても有効です。2060年には労働人口が半減する日本で「人材の奪い合い」に勝つための競争は始まっているのです。