転職でチャンスをつかめる人と、逃す人は何が違うのか。転職エージェントの森本千賀子さんは「せっかくのチャンスをふいにしてしまう女性を多く見てきた。そんな『もったいない!』ケースは大きく4つのパターンに分けられ、いずれも自分を過小評価したり、新しい環境に飛び込むことが不安だったりする心理が関係している」という――。
ビジネススーツで軽やかにジャンプする女性
写真=iStock.com/maruco
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転職市場は、女性に追い風

5月は1年の中でも求人数が多い時期です。4月に入社した人たちの受け入れが落ち着き、次年度の採用計画が動き出したり、4月からの新体制で不足している人材に気付いたりと、新しい求人が出てきやすいのです。

そして今、転職市場では、女性に追い風が吹いています。

今年4月、改正女性活躍推進法が施行され、労働者数101~300人の事業者に対しても、女性活躍推進の行動計画の策定・公表が義務付けられました。また、「SDGs」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」が叫ばれていますが、この中では「ダイバーシティ(多様性)」「ジェンダー平等」が重要テーマとなっています。

こうした背景から、多くの企業が「女性活躍推進」「女性管理職比率の引き上げ」の取り組みを加速させています。当然、中途採用における女性のニーズも上昇しているのです。

ところが、女性によく見られる行動特性により、せっかくのチャンスを逃してしまうケースが少なくありません。私がこれまで見てきた、女性によくある「もったいない!」パターン4つをご紹介します。

① キャリア飛躍のチャンスなのに! 直前でビビって内定辞退

「うーん、もったいない!」「彼女、いずれ後悔することにならないだろうか……」

そんな結末を迎えた、ある女性の転職活動事例をお話しします。

Aさん(30代)は人事職。成長意欲が高く、「もっと仕事の幅を広げたい」「運用だけでなく企画から手がけたい」と、転職活動へ踏み出しました。

面接を受ける中で、ある企業からポテンシャルを高く評価されたAさん。実務経験は不足していたものの、上司となる方に「しっかりフォローするので大丈夫」と言っていただき、チームリーダーのポジションで内定を獲得。彼女にとってはまさに希望どおりのチャレンジができ、しかも年収アップという、理想的な内定となりました。

ところが、つい先週まで「ぜひ入社したい」と意欲を見せていたAさんが、突然「やはり内定を辞退したい」と……。理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「経験がないミッションなので、やはり自信がありません。迷惑をかけてしまいそうです」
「プレッシャーを感じて、自分自身を追い込んでしまうような気がします」

転職エージェントの視点から見て、この転職は、Aさんにとって大きくキャリアを飛躍させるチャンスだと確信していました。それだけに、漠然とした不安だけでチャンスを手放してしまうのは「もったいない」と思いました。