「非正規優位」の構造が崩れはじめている
「女性は非正規のほうが多い」。こんな“常識”が、いま静かに覆りつつあります。
長年、日本の働く女性は、結婚や出産でキャリア継続が難しく、結果的に非正規へ移るケースが多い――。こうした構造が「日本の労働市場の特徴」として語られてきました。しかし最新データを見ると、このイメージはすでに現実とズレはじめています。
64歳以下の現役世代では、正規雇用で働く女性のほうが非正規を上回る“逆転”が起きているのです。もはや「女性=非正規」という前提で人材戦略を立てる時代ではなくなりつつあります。
本稿では、その構造変化をデータで紐解いていきたいと思います。
正規雇用で働く女性が2025年に入ってから増加
図表1は15歳以上の女性の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移を示しています。これを見ると、依然として非正規雇用労働者のほうが多くなっていますが、2025年に入ってからその差が徐々に小さくなっています。
2025年1月には女性の正規と非正規の差が193万人でしたが、同年9月には50万人まで縮小しています。わずか9カ月で差が4分の1以下になっています。

その背景には、正規雇用労働者の増加があります。2025年1月から2025年9月までで正規雇用で働く女性が約87万人も増えているのです。
64歳以下は完全に逆転
次に図表2を見てください。これは女性を64歳以下の現役層と65歳以上の高齢層に分けた結果です。

65歳以上の図では依然として非正規労働者が多くなっているだけでなく、その差は拡大傾向にあります。背景には新たに非正規で働く高齢女性が増えていることが影響しているでしょう。これに対して、現役層では2025年2月以降に正規雇用のほうが非正規雇用を継続的に上回っています。
現役層では、「非正規のほうが正規よりも多い」という傾向が消えたのです。