「短時間勤務の先」に認識のギャップが!

現状、企業の取り組みが「両立支援」にとどまっている理由の1つには、企業側と女性側の認識のギャップがあると思います。企業側は、育児休業から復帰して短時間勤務をしている女性たちに対して、「さあ、次はフルタイムで働いて」と、従来通りの働き方や男性型のキャリアコースに乗ることを期待しています。その一方で、当社で行った調査によると、育児休業から復帰した女性の中で、今後も長くこの会社で働いていくことを決意できている人は半分程度。多くは、「今は短時間だから仕事が続けられているけれど、短時間勤務の期間が終わってフルタイムになったら、続けられないのでは?」と不安を持っています。人事担当者は、このことを認識する必要があります。

以前は結婚や妊娠で退職し、専業主婦になっていた女性たちが、今は短時間勤務の制度があるからこそ仕事に戻れている。従来のような長時間勤務には戻れないと考える女性を責めることはできません。

一方、短時間勤務で働く女性たちにも伝えたいことがあります。短時間勤務であっても、会社で過ごす時間は結構長いものです。短時間勤務で働く女性たちの特徴として、子育てについては、専業主婦家庭とできるだけ近い形で手をかけたいと考える人が少なくありません。ですので、短時間勤務でうまくバランスが取れているようで、実は子育てにかける時間が少ないことを悩んでいたりします。日々の時間のやりくりも本当にハードです。それだけに、仕事の内容が、充実し、成長が感じられるものでないと、長く続けたいとは思えないのではないでしょうか。よく、「短時間で働かせてもらっているので、『やります』と手を挙げて挑戦しても、もしできなかったら周りに迷惑をかけることになり申し訳ない」と、遠慮してしまうという話を聞きます。