「子どもがいる女性」を成長させる企業が生き残る

私は日ごろ、コンサルタントとして企業の管理職のみなさんの研修をさせていただくことも多いのですが、管理職からは「『早く帰らせて』と言いながら『やりがいのある仕事もほしい』と言う女性はわがまま」という声を耳にすることがあります。しかし、経営の立場から見れば、「早く帰れるよう支援しているのだから、勤務時間内にはしっかり成果を上げて欲しい」と考えるはずです。ですので、それは逆に管理職のみなさんの問題なのです。これからの時代は、いろいろな働き方をする人に、能力を発揮して職場の戦力になってもらうことを考えるのが、経営者、管理職の役目です。短時間勤務だから仕事を任せないというのは、短時間勤務利用者の希望というより、管理職にとってその方がむしろ楽だからそうしている場合が少なくありません。

昔は、「女性は辞めるから採らない」だったのが、最近は「短時間勤務の女性は使えない」からこれ以上女性は欲しくない、という職場の声も出てきています。短時間勤務の女性から、仕事の責任や負荷を外してしまうことが、このような現象につながっています。状況をそのままにしておくのは非常に危険で、女性の採用を絞ろうというような影響を与えかねません。

これから、家族の介護に関わる人も増えますし、高齢者の雇用延長も広がります。長時間働けない人はますます増えるでしょう。こうした人たちの能力を活用し、伸ばせない企業は、いずれ立ち行かなくなってしまうのではないでしょうか。

企業経営者は管理職に対し、短時間勤務であってもきちんと仕事を任せ、成長させるよう、強いメッセージを伝える必要があります。確かに簡単なことではありませんが、新人を育てるのと同じです。チャレンジさせて、できなかったらフォローするのは上司として当たり前なはずです。