過去の恋愛パターンにヒントが隠されている

先日、来日したジョン・グレイ博士とインタビューする機会をいただき、このエピソードについてお聞きしたところ「確かに自分は、昔は回避型のような言動をとっていた」と言っていました。でも、奥さんの修羅場のような状況を目の当たりにし、彼女のニーズにとことん答えようと決めてからは、より安定型に近い考え方をするようになったそうです。

自分のアタッチメント・タイプが不安型、回避型だったとしても悲観する必要はありません。自分の言動を変えれば、活路が開けます。

安定型の人が、相手を責めない形で自分の気持ちをきちんと伝えることができるのは、効果的なコミュニケーションによるところが大きいのです。不安型・回避型の人も、このコミュニケーション方法を心がけることで、良好な関係を築くことができます。本書でも解説されている「相手に伝わる言葉で話すための習慣」の例をあげると、「自分のニーズに集中する」ということがあげられます。これは、自分が何を求めているのかをきちんと認識し、それを相手を責めない形で率直に伝えることを意味しています。特に、不安型(Nタイプ)の人は、相手とうまくやっていきたいと思うあまりに、自分のニーズを口に出すことをためらう人もいるかもしれません。でも、伝えないからといってもやもやした思いがなくなるわけではなく、それはいつか別の形であらわれてくるものです。そうなるよりは、自分が相手にしてほしいことを素直に伝えたほうが、相手にも理解してもらいやすくなります。

また、回避型の人は、時にはひとりにしてほしい、というニーズがありますが、その希望を伝えないままに、無視したり距離を置いたりという態度をとると、ふたりの関係は悪化します。「カップルの関係にあっても、ときにはひとりになりたいというニーズがある」ということを自覚して、相手に対して「自分は誰と交際していても、時々ひとりになれる時間が必要です」ということを伝えることで、相手をむやみに不安にさせるという状況を防ぐことができるでしょう。

変化のきっかけはまず現状を把握すること。そのために必要なことの一つが、過去の自分の恋愛パターンをアタッチメント・タイプの理論で分析することです。『異性の心を上手に透視する方法』で詳しく説明されていますが、まず今までの自分の交際相手を振り返って「過去のリレーションシップ・リスト」を作ります。そして、交際していた相手との関係にダメージをあたえるような自分の言動について振り返り、なにがそうさせたのかをアタッチメント理論に基づいて分析していきます。この本を原書で読んだ私の友人は「過去のリレーションシップを一つ一つ新しい目で見ることができました」と語っていました。その結果、自分のアタッチメント・タイプや、相手との付き合い方にパターンがあることが明確になったのです。

今までの恋愛はすべて、自分についてより深く理解し、次にどうすればいいのかを教えてくれる貴重な情報源なのです。なかには思い出したくない記憶もあるかもしれませんが、このワークをすることで、自分のアタッチメント・タイプ特有の言動に意識を向けることができます。そして、次の恋愛で今までと違う結果を得たければ、今までの自分とは違う選択をすることもできるでしょう。

ジョン・グレイ博士も回避型から安定型に近い考え方をするように変わっていきました。自分のアタッチメント・タイプに気づくことで、そこに選択の幅が生まれ、可能性が広がります。

『異性の心を上手に透視する方法』がより自分に合ったパートナーを見つけるお手伝いになることを祈っています。

塚越悦子(つかごし・えつこ)
ファミリー・リレーションシップ専門コーチ。My Peaceful Family代表。
東京大学文学部卒業。モントレー国際大学院で行政学修士を取得後、国連に就職。2002年にアメリカ人の夫と結婚し渡米。アメリカでライフコーチの資格を取得し、国際結婚カップルの相談を受けてきた。現在は一家で日本に住み、最高のファミリーを作るための婚活サポートやリレーションシップ・コーチングなどを行っている。著書に『国際結婚一年生』(主婦の友社)、訳書に『異性の心を上手に透視する方法』(プレジデント社)がある。ウェブサイト(http://www.mypeacefulfamily.com)で恋愛・結婚・家族をテーマに情報発信をしている。『異性の心を上手に透視する方法』Facebookページ(https://www.facebook.com/iseinokokoro)。
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