世界的恋愛ドラマの主人公は不安型だった!

恋愛がテーマの海外ドラマ史上でも特別な輝きを放つ『Sex and the City』というアメリカのドラマを例にとってみましょう。1998年から2004年にかけて放映されて大流行しました。ニューヨークが舞台のこのドラマの主要キャラクターをアッタチメント・タイプでみてみると、主人公のキャリーは不安型の傾向が強いといえます。そして、キャリーの恋の相手のひとり、Mr.Bigは、少なくとも最初の数シーズンでは回避型の傾向をみせています。

好きになってもうまくいかない理由は、自分と相手のアタッチメント・タイプの組み合わせにありました。

親密さを「自分の自由がなくなる」ととらえる回避型にとって “We”(わたしたち)という言葉は脅威にもなり得ます。実際に、シーズン2の終わりの方で、Mr.Bigは仕事で一時的にパリに移住するという話になるのですが、そのときも、ふたりの関係についての話を彼のほうからは一切持ち出さず、キャリーに「どうして私のことやふたりの関係をちゃんと考えてくれないの?」となじられていました。

実は、アタッチメント・タイプが不安型と回避型のふたりというのは最悪の組み合わせなのです。不安型の人は相手ととにかく親密になりたいという欲求をもっていますが、回避型は「あまりベタベタしないでほしい」と思っています。親密さに対する欲求のレベルが違うために、回避型の人は不安型の人が(それこそ不安な気持ちを解消しようと)何度も連絡してきたり、次のデートの約束をとりつけようとする態度を目にして、逃げ出したくなってしまいます。

不安型はますます追いかけ、回避型はますます逃げようとする……という悪循環が起こります。また、不安型の人は、親密になりたいという欲求が満たされないときに不安になりドキドキする気持ちを「これは恋なんだ」と勘違いしてしまうのです。本当は、不安型の人とより相性のいいパートナーは、不安型の人の親密さに対する欲求を「正当なもの」と受け止めてくれる安定型の人です。