「仕組み化」が大きな差を生む

仕事に集中するための工夫でも差が出た。「重要な仕事に集中したいときは電話に出ないなどのルールを決めている」と回答したのは2000万円以上が39.2%であるのに対し、500万円台は24.6%だった。

「ルールは誰でも決められますが、難しいのはその実践です。たとえば『この時間帯は電話に出ない』と決めても、同僚が電話を取り次いできたら意味がない。高収入の人は、周りの協力を得られるように、普段から良好な関係を築いています」

高収入の人が周囲と良好な関係を築くよう心がけていることは、アンケート結果からも見てとれる。「コミュニケーション力に自信がある」と回答した人は2000万円以上が71.6%で、500万円台の47.6%を大きく上回った。

仕事の効率化で注目したいのは次の質問だ。「たいていのことは人に頼むより自分でやる」と答えた人は、2000万円以上が78.8%で、500万円台は88.4%。どうして低収入のほうが自分でやりたがる人が多いのか。吉山氏は「仕組み化がヘタだからです」と分析。

「仕事を人に任せるためには、自分が勘や経験にもとづいて無意識でやっていることを形式知化して、誰でもできるように標準化する必要があります。一言で言えば、仕組み化です。ところが低収入の人は暗黙知を形式知にするところでつまずきやすく、なかなか人に仕事を渡せない。一方、高収入の人は自分のノウハウをマニュアル化して全体で共有することに長けています。仕組み化の巧拙が、差になってあらわれているのです」