プロフェッショナルが世界で活躍できるビジネスモデル
クリエイター達プロフェッショナルとC&R社との関係を、井川は“ロマンとソロバン”と表現する。登録する人はロマンを持っていればいい。収入とキャリアデベロップメントは同社がプロフェッショナル・エージェンシーとしてサポートするということだ。そのために、200人以上の社員が専任エージェントとしてクライアント開拓に汗を流している。いまや、C&Rグループに登録しているプロフェッショナルの数は14万人を超えた。そのなかには、医療部門に医師が70000人、法曹部門の弁護士7600人なども含まれる。
「将来的には、このようなプロフェッショナルで、日本が世界に誇れる50分野にビジネスを展開していきたいと考えています。すでに動き出しているのが建築士、大学の教授や研究者、ファッションデザイナー。今後の進出分野を挙げると、日本の成長戦略を担うロボット、エネルギー、バイオ、AI(人工知能)などがあります。これらを5~10年で立ち上げ、その次はクリエイターがグローバルに活躍できるビジネスモデルを構築していく計画です」
こう話す井川は、日本を、そして世界をもっとクリエイティブにしていくことで、業際を超えたコラボレーションも可能になっていくと見ている。例えば、ロボット工学とAI、医療の融合だ。これが可能になれば、医療や介護の現場で、考えながら患者をケアするロボットが誕生する。それは、パテントにもなり、C&R社の成長事業と期待するライツマネジメント事業が成長し、大きな柱になっていく。さらに、そんなプロフェッショナルの知識やノウハウの"見える化"も進める。それによって、クライアントに個人やプロジェクトチームとして紹介することができ、より幅の広いサポートも可能になる。
いまでも、井川は、自分を起業家というより演出家だという。C&R社の仕事はプロフェッショナル達の“舞台”を提供することだと認識している。そこで、出演者に好演してもらうことが、同社の役目といえる。すぐれた舞台や映画なら、エンディングの後に、観客からたくさんの拍手、スタンディングオベーションがもらえる。それを会社経営に置き換えれば、拍手に当たるのが利益だろう。それを原資に、今後50分野への進出を加速するが、そのためにも、井川の舵取りがますます重要になってきている。
(文中敬称略)