しかし実験結果を見ると、売り手の金額の中央値は250円で、多くが200~300円台を要求したのに対し、買い手の中央値は170円で、買い手の多くは100円台しか払うつもりがないことがわかりました。

この金額の差は「所有効果(endowment effect)」と説明されています。人間には、自分の所有物だと思うと、価値を高く評価して、手放すことを惜しむ傾向があります。無料でもらった販促品や記念品など、「処分すればいいのに」と思われるようなモノも、なかなか捨てられないのはこのためです。

現実の人間には「所有効果」のほかにも、「経済人」には起こりえない「無意識の癖」があります。これを知ることは、経済理論の構築だけでなく、日々の仕事にも役立つはずです。

初級編 問題

Q1 明日1000円もらうのと、1カ月後に1500円もらうのとでは、どちらを選びますか。

【1】明日1000円
【2】1カ月後に1500円

Q2 「ジャンボ宝くじ」を毎年100枚購入するとして、1等に当選するまで何年かかると思いますか。

【1】100年
【2】1000年
【3】1万年
【4】10万年