Q11 正解:必見⇒一見
「必見」は「見逃せない価値がある」という意味だから、「必見の価値」では意味がダブる。「一見の価値があるもの」を「必見」と言う。

Q12 正解:油断⇒予断
「予断」は前もって判断すること。楽観的な見通しを戒めるのが「予断を許さない」。そこから、「油断は禁物」と連想が働くと、間違ってしまう。

Q13 正解:通り一辺倒⇒通り一遍
形式は整っていても心が伴わないのは「通り一遍」。通ったついでに立ち寄っただけという意味。「一辺倒」は偏った状態のこと。

Q14 正解:度返し⇒度外視
「度外視」は、度外(範囲の外)に置くこと。「度返し」という言葉はない。「度を越す」「利益を還元する(返す)」などに引っ張られた誤用。

Q15 正解:見ぬ⇒見る
めったに見られないのは「まれに見る」。見られるのはまれ(ごくわずか)、非常に珍しいという意味になる。「まれに見ぬ」では意味不明。

Q16 正解:必死⇒必至
「必死」は「死にものぐるい」。「必死」になってそうならないよう頑張っても避けられないことを「必至」という。「必ずそこに至る」の意。

Q17 正解:決済⇒決裁
「決済」は、債務や手形など、売買取引を終わらせることについて使う。権限を持った人が事柄の採否を決める意味では「決裁」が正しい。

Q18 正解:概念⇒観念
「概念」は概括的な(だいたいこうだという)意味。「観念」は、これはこういうものだという考えで、そこから離れられないのが固定観念。

Q19 正解:論旨⇒諭旨
非を諭(さと)し辞職を促すのは「諭旨(ゆし)免職」。「論旨(ろんし)」(議論の筋道)は、「論旨明快」「論旨をまとめる」などと使うもの。

関根健一
読売新聞東京本社紙面審査委員会専任部長(用語担当)。日本新聞協会新聞用語懇談会委員。文化審議会国語分科会委員。監修書に『一生使える、美しい日本語と敬語』(PHP研究所)、近著に『なぜなに日本語』(三省堂)など。
(関根健一=監修 曲沼美恵=文・構成 大森大祐=撮影)
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