もちろん米軍に依存するばかりではいけない。自分の国を独力で防衛するのは当たり前のことだ。しかし、日本の法律は「専守防衛」が基本だから、相手から殴られなければ殴り返せない。日本に対して明らかに敵意を抱く相手が攻撃準備をしていることを察知しても、一撃喰らうまでは自分から手を出せないのだ。

戦争放棄を謳った憲法九条をいくら拡大解釈しても、国防体制を整えることはできない。やはり憲法を新しくつくって、日本の国防のあり方をはっきりと規定する必要がある。

北朝鮮がノドンを一斉に発射するなどの暴発をしたときに、これを迎撃することは極めて難しい、と軍事専門家たちは見ている。つまり迎え撃つ戦略の限界が指摘されている。これはとりもなおさず「専守防衛」では国民の命は守れない、ということでもある。こちらからも北朝鮮にカウンター攻撃できる兵器と部隊を持たなければ抑止力にはならない、ということでもある。自衛隊の装備も、すべて対北朝鮮を前提にスクラップ・アンド・ビルドするのだ。また、これまでは旧ソ連を仮想敵国として北方の守りを固めてきたから、中国地方や九州は非常に手薄。これも是正を要するだろう。

6カ国協議で北朝鮮の核開発問題が解決することはない。解決すれば金正日王国は持たないからだ。今後、南北融和が進むにせよ、クーデターが起こるにせよ、世襲問題に取り組んでいる北朝鮮が目を外に向けるために「暴発する可能性」は高まっていると見ておいたほうがいい。もっと危機感を持って具体的な国防論議がなされるべきだし、有事即応の防衛体制を一刻も早く完成させなければならない。

(小川 剛=構成 若杉憲司=撮影)