一方で、全体的に文脈依存型の問題が増える。清涼院氏によれば「解答テクニック先行で抜け道を探してきたような人は苦戦を強いられるかもしれない」という。「逆に基本を疎かにしないで、地道に学習してきた人にとっては何の心配もない」と断言する。

5月から始まる新テストまでに準備が万端とはいかない学習者も多いはずだ。すぐに受けるべきか、少し「様子見」をしたほうが得策なのか。

「絶対に受けるべき」と強く勧めるのは花田氏。「ある程度の慣れが必要なTOEICテストは、初回の受験で実力を発揮できるとは限らない。まず5月6月と受験し、その経験値をいかして3回目の7月に自己ベストを出すぐらいのスケジュール感が妥当」。

さらに「改訂された」といっても、実は変更があるのは全設問の1割程度。「満点を狙う人なら1割への対策を怠ることは命取りだろうが、700点台ぐらいまでの人にとっては、正直それほどの影響はない」とTOEIC受験力アップトレーナーのヒロ前田氏はいう。

ただし、新テストを受けるなら、時間配分を知るための「リハーサル」が必須であるのは従来と同様である。前田氏は「設問数の変化に応じて、パートごとの時間配分が変わってくる。現行の形式による時間配分が体に染み込んでいる人ほど、意識的な切り替えが必要」とアドバイスする。

▼損する人 
・仕事で英語をまったく使わない人
・SNSやチャットの経験がない、もしくは苦手な人
・口語表現の知識が乏しい人
・英文法の基礎に不安がある人
・日本語の能力に自信がない人
・地道な勉強を避け、小手先のテクニックに頼ってきた人
・長文の内容把握が苦手な人
・旧テストの時間配分から抜け出せない人
・満点狙いで試験を受けている人

▼得する人
・仕事で英語を使う機会が多い人
・日頃からSNSやチャットでコミュニケーションをしている人
・口語表現をよく知っている人
・英文法の基礎ができている人
・日本語の能力(国語能力)が高い人
・基礎からコツコツ勉強してきた人
・長文の内容把握が得意な人
・時間配分を柔軟に変えられる人
・700点ぐらいまでを得点目標にしている人

清涼院流水 
ミステリー作家、漫画原作者、英訳者。執筆活動の合間に英語学習を始め、TOEIC学習サークル「英語部」発足。TOEIC満点。
 
花田徹也
高校卒業後、渡米。南カリフォルニア大学卒業。三菱商事に勤務後、英語講師の道へ。現在、TOEIC特化型スクール「花田塾」を運営。
 
ヒロ前田
TOEIC受験力アップトレーナー。受験回数100回超。調査を目的に受験するため、取得スコアは15点から990満点まで幅広い。
 
(澁谷高晴(前田氏、清涼院氏)、山本祐之(花田氏)=撮影)
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